徒然と書くさ

若輩者による映画備忘録と雑記 ※映画の備忘録記事はネタバレに注意

飛行機の乗り換えに失敗して韓国で一泊する羽目になった時の話

 

1年以上前になるかと思う。
アメリカから日本に一時帰国する際、チケットを取るのが遅れて直通便の航空券代がいつも以上に高くなってしまっていた為韓国経由で帰ることになった。

何かのトラブルで離陸が約1時間遅れたがその後は順調。

本来の乗り換え時間は3時間、ある程度余裕があった為特に気になる遅延ではなかった。

乗り換えまで2時間と十分余裕を残して韓国に着く。

休憩を取り終えトランスファー客用のエントランスに行き、

スタッフに搭乗券を渡すがチケットを見つめたままなかなか返してくれない。

やっと口を開いたかと思えば「これ、空港間違ってるよ」とのこと。

スタッフが言っていることの意味がわからなくて少しの間思慮を巡らせていると、

「チケットよく確認してみ」と促される。




アメリカのとある空港→仁川国際空港 (今ここ) →金浦国際空港→羽田空港




ガビーーーン・・・(死語) 

 

なるほど、そういうことか。

急いでチケットを取っていたこともあって空港のことまでちゃんと確認していなかった。

というか正直、たった数時間空きの乗り換えで違う空港に行かなくちゃいけないことがあるなんて全く知らなかった。

今からわざわざ韓国に入国し他の空港まで移動しなくちゃいけないことと、過去の自分の軽率・無知さを思うとなんとも情けない気持ちになったが、とりあえず入国審査エリアに向かわなければならない。

 

不幸にも審査待ちの列は混んでいた。

こんなことになるとは全く想定していなかったから休憩も長めに取っていた。

韓国に着いてから既に1時間が経過、タイムリミットは残り1時間だ。 

この時点ではWi-Fiが入らず、金浦国際空港までの詳しい行き方も所要時間も調べようがなかった。

成田ー羽田間くらいだと仮定すると既に詰んでいる。

ここから近いことを信じて並び続けた。

すると、俺の顔から焦躁感が溢れ出していたのか、ネームプレートの上に"日本語話せます"バッジを付けたスタッフのお姉さんが「どうかしましたか?」と話しかけてくれた。

日本語で話しかけられたことに対する驚きと安堵からか、こんな状況にも関わらず、

「なんで日本人ってわかったんですか?日本語お上手ですね。日本に昔住んでたんですか?」などとスモールトークを始める俺。

俺の状況をまだ知らないお姉さんは「ありがとうございます。独学ですよ」と笑顔で返してくれた。

可愛かった。

実は今こんな状況なんだけど・・・と説明すると、

顔色を変え慌てた様子で入国審査官の目の前まで優先的に通してくれた。

俺の前に並んでた人たち、俺のミスなのにすまん。

お姉さんが入国審査官に俺の状況を簡単に説明してくれた。

するとその説明を聞いた審査官が「じゃあまずは◯◯に行って」と言ってきた。

この◯◯の名前も何のための場所だったのかも忘れたが、

やっと入国できると思っていた俺にはこたえた。

しかも、その◯◯に行くと「入国審査の列に並んで」と追い返されたもんだから異国の地でどちらを信用すればいいのかわからない俺、お手上げ。完全にたらい回し。

違うヘルプのお姉さんを探せばいいものをさっきのお姉さんにこだわって探す。

結局見つからない。

半分諦めかけていたこともあって、律儀に最初から列に並び直す日本人モード全開の俺。

二度目の順番が目前になったところであのお姉さんを発見。

お姉さんの方も俺に気付き「なんでまだここにいるんですか!?」とびっくりしているが、

たらい回しにされた俺が問いたいセリフだった。

 

お姉さんと二人で状況を再確認。

「多分もう間に合わないと思いますよ」とお姉さん。

「これからどうすればいいですかねえ」と心の声が出る。

「金浦に着いたらとりあえず航空会社の窓口に行って相談してみてください」とお姉さん。

金浦国際空港までの行き方を教えてもらったところで俺の順番がくる。

お姉さんに感謝を伝え、一度目はなんだったんだと思うほどすぐ入国できた。

 

 

案内板を辿ってなんとか切符売り場まで着き、電車にも無事乗ることができた。

仁川から金浦までは電車で30、40分くらいだったと思う。

上手くいけばギリギリ間に合っていたことが悔やまれる反面、

これ以上ハラハラ焦る必要がなくなったと逆に肩の荷がおりる俺。 

金浦に着きお姉さんに言われた通り航空会社 (ANA) の窓口を探す。

仁川ほどの規模ではないにしても金浦も国際空港なのだが、

21時にして既に人がまばらでなんだか薄暗かった。

少し歩いて窓口を見つけられたが、ANAを始め全ての窓口の営業が終了していた。

 

 

 

ガビーーーン・・・(二回目)

 

 

 

隣接するデパートのようなところを散歩しながらこれからどうするか考える俺。 

朝まで空港で過ごす覚悟を決め、ロビーに戻って持参のPCを開きGoogle先生に質問攻めをする。

というのも、俺がチケットを取っていたのは海外の格安サイトから。

しかもアメリカから韓国はユナイテッド航空、韓国から日本はANAと二社にわたっていた。

格安サイトにも保証的なものがあるのか、

航空会社は無料で振替便を用意してくれるのか・・・確認したいことがたくさんある。

ユナイテッドに遅延があったとは言え、俺がしっかりしていればギリギリ間に合っていたであろう事実を他社であるANAがどう受け止めるのかがわからない。

ANAは振替便を用意してくれるのだろうか、もしダメだった場合ユナイテッドが用意、もしくは払い戻しのようなことをしてくれるなんてことがあるのだろうか・・・

メールで問い合わせをしても返信がいつになるかわからない。

結局、格安サイトでチケットを取ったから多分保証みたいなものはないだろうと思い、事情が複雑だったこともあって確かな結論には至れず、これ以上詳しく調べるのが面倒になった俺は新しく翌日朝一のチケットを取ってしまうことにした。

韓国ー日本間ならば安く済む、唯一の救いだった。

しかし、ここでもまたやらかした。

疲れがたまっていたのか間違えて違うチケットを取ってしまったのだ。

キャンセルは電話のみでの対応らしい。

韓国の公衆電話から国際電話をかけるのに悪戦苦闘したもののなんとかキャンセルはできた。

落ち着いてもう一度新しいチケットを取り、長い闘いを終えた俺は一服をしに外に出た。

 

 

この時の時刻は23時。

冬の韓国は寒く、着いた時に比べて一段と周囲が物静かになっていた。

タバコを吸い終え中に戻り、朝まで過ごせるような場所を探していると、突然後ろから声をかけられた。

「オニイサン、今日どこ泊まるの?」韓国に着いてから日本語で話しかけられるのはこれで二度目だ。

振り返ると、小太りで人相悪めのオッサンが立っていた。

特別日本人っぽい格好なんてしてないのになんで日本人ってわかるんだよと思いながら「朝まで空港で過ごすつもりです」と答えると、「ここ23:30に閉まるよ」とオッサン。

国際空港のロビーなのにそんなはずはないだろうとは思ったが、実際周囲には空港スタッフすらほとんどいない。

「本当ですか?」と聞き返すと「うん、あと30分で閉まるね」と腕時計を確認しながらオッサンが答える。

「ホテルで働いてる知り合いいるから送っててあげるよ。朝も迎えに行って空港まで送ってあげる。ホテル代と送迎代合わせて120ドルね。あ、ウォン持ってる?ドルか円でもいいよ」

仁川でヘルプしてくれたお姉さんとは違い実際のオッサンの日本語はカタコト、いろいろと怪しすぎる。

 

しかし、もしこのオッサンが言っていることが本当だとしたら・・・?

冬の韓国で外に締め出され、行くあてもない。

予約をしていなくても今から部屋がとれるホテルまでタクシーを使って行くとなると、なんだかちょっとこわい。

ウォンのキャッシュなんてほとんどない、だとしたら韓国のタクシーやホテルはクレカがちゃんと使えるのか?英語が通じるのか?ぼったくられたりしないか?

そんなことを考えているとオッサンが畳み掛けてくる。

「その知り合い日本語話せるけど話す?」

完全にオッサンのペースに乗せられているが、「あー・・・じゃあ一応」と俺。

その間に金浦の空港ロビーが何時まで空いているのか調べたが、時間に余裕もなく結局よくわからなかった。

韓国語で電話を始めるおっさん。

何を話してるのか全くわからないのもあってさらに不安が募る。

電話を代わると、このオッサンとカタコト度がさほど変わらない日本語を話すオッサンだった。

だから話が噛み合わない。

結局電話上のオッサンは、対面しているオッサンに任せておけば大丈夫やで〜的なテンションでいろいろと期待はずれだった。

多分俺を信頼させるためだけの演技電話だったのだろう。

 

やっぱり怪しい、疑念は確信へと変わった。 さすがに騙されない。

しかし俺はこの時ふと思った。

ぼったくりだとしても120ドルでホテル代も送迎代も込み、1ドル100円だとすれば1万2千円。

韓国の相場やオッサンが言うホテルのレベルはわからないが許容範囲内だ。

このオッサンが言うようにここのロビーが閉まるとしたら結局これくらいの出費は避けられない上、自分で全てを手配することになる。

そしてなにより、俺は長旅と想定外のトラブルで疲れていた。

シャワーを浴びて暖かい部屋の中でベッドで寝る、今の俺にはそれが必要な気がした。

しょうがない、ここは騙されてやろう。

もう一度金額と送迎の有無を念押しして確認し、不本意ながら「じゃあ・・・お願いします」と近くに停めてあったオッサンの車に乗り込む。

深夜の異国の地で、見ず知らずのいかにも怪しいオッサンと車に2人。

少なくとも拉致られたり殺されたりすることはないだろう。そうであれば問題ない。

何事も経験だと好奇心に身を任せた。

「韓国のタバコ吸ってみるか?」とオッサン。意外と優しくて安心する。

タバコミュニケーションのいい例だ。2人でタバコをふかしながら深夜の韓国を走る。

気を遣ってくれていたのかいろいろ俺のことについて聞いてくる。

日本語がカタコトだからあまり会話が噛み合わない。

英語を混ぜた会話になるが英語もそんなに上手くないオッサン。

結局会話はあまり噛み合わない。

突然、窓の外に向かってカーーーペッと痰を吐くオッサン。

しかも何度も・・・き、きたねえ・・・

チンピラみたいなタバコの吸い方に再び不安になるがちょっとしてホテルに着いた。

「チェックイン済ませてくるから」と言われ車で待機。

少しして戻ってくると鍵と一緒に部屋番号を伝えられる。

明日の待ち合わせ時間を確認し「おやすみなさい」と去って行った。

どうやら不安は杞憂にすぎなかったようだ。

むしろ思っていたよりもいい人っぽい・・・

部屋に向かう際、フロントの若い男2人がちょっとニヤニヤしているのが癪だったが気にせず通り過ぎた。

ホテルは悪くなかった。

部屋は綺麗でアメニティーが豊富、そして一人には十分の広さだった。

一息つくとホテルに隣接しているコンビニに行きカップ麺と飲み物を買う。

まっずい韓国のカップ麺での夕食を終えた後シャワーを浴び、数時間後の集合時間に備えて寝た。

 

普段は朝が苦手だがこの日は一度目のアラームで起きられた。

軽くシャワーを浴び終えたところでフロントからの内線電話が鳴った。

オッサンからだった。

内心迎えには来ないんじゃないかと疑っていたから安心した。

しかし、集合時間まであと30分もある。

なんて気が早いんだと思いながら準備を済ませホテルのロビーで待っているオッサンのもとへと向かう。

帰り際のフロントも来た時と同じ面子だった。

相変わらず内心俺をバカにしたような顔が隠しきれてなかったがこちらは大人の対応をしてホテルを後にする。

 

「いやー寒いね、よく寝られた?」朝の会話はどこの国に行ってもこうして始まるんだなと思った。

そしてまた韓国のタバコをくれた。今度はまるまる一箱。

空港に着き、オッサンにお金を払おうと財布の中身をみて120ドルに足りないことに気がつく。

ウォン、円、ドル全てを足しても現金の持ち合わせがそんなにないことを完全に忘れていた。

血の気が引いたが、正直にそのことをオッサンに伝えた。

一瞬オッサンの動きが止まった。

やばい・・・

スーツケースにちょっと現金をいれておいた気がすることを伝えてスーツケースを開くがそれは気のせいだった。

韓国のATMで現金をおろせるようなカードは持ってない。

結局20ドルまけてもらえることになった。

オッサンの器量に感謝して別れ、飛行機にも無事乗ることができ1日遅れで日本に着いた。

 

ーーー 完 ーーー

 

 

 

後日談

 

 

日本への帰省を終えアメリカに戻り、韓国人の友達にこの話をすると案の定これはぼったくりで、ホテルは韓国のラブホテルだろうと言われた。

ぼったくりに関してはわかっていたし、結果的に100ドルで済んだのでオッサンとはお互い様だろう。

ホテルに関しても、今思えばたしかに無駄にキラキラしていたがフロントの態度を除いて質には満足していたので問題ない。

 

乗り遅れたチケット代に関しては終わったことで面倒だったので問い合わせていないし、1年以上経っているのでこれから問い合わせるつもりもない。

ただ、このケースで振替便や払い戻しが可能だったのか気になるのでわかる方がいれば教えてもらいたい。

 

あと、金浦空港のロビーが閉まるということに関しても面倒くさくて未だに調べていない。

全てのエリアが閉まるということはないと思うが、自分がいたロビーやターミナルを覚えていないため結局わからず終いだろう。

いずれにしてもシャワーとベッドでの睡眠のことを考えると別に後悔はしていない。

 

ただ、一歩間違えれば犯罪に巻き込まれてもおかしくない状況だったのは事実。

 

俺が言うのもなんだが、海外ではいつも以上に注意深く行動したほうがいい。

 

 

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