映画メモ

映画備忘録 ※ネタバレに注意

【映画】マッチスティック・メン【Matchstick Men】

 

詐欺師の話で最後に気持ち良く騙されるというあらすじ、というかキャッチフレーズを聞いてから観たせいでなんとなくオチが読めてしまった。どんでん返しがあると知って観るわけだから、ずーっとうまくいってたらおかしいじゃん?ってなると主人公の詐欺師・ロイが逆に騙されていると考えるのが一番自然。そうすると次に考えられるのが、その周りの相棒やカモ、娘が共犯してロイを騙しているということ。そもそもあの娘、元妻が一度も登場してないのになんだか都合がいいなと思ってたんだ。

このあらすじを知らずに観たら気づかなかっただろうから一概に本作の甘さを責めるわけにはいかないけど、あらすじやキャッチフレーズを知った上で映画を観るのは割と当たり前のことだから擁護することもできない。

それにしても、オフィシャルなあらすじやキャッチフレーズは作品の行方を左右するものなんだからもうちょっと配慮して作られるべきだと思う。本作に限った話じゃないけど。

 

本作のテーマは「詐欺」ではなくて詐欺師である主人公の心境の変化だと思っているが、詐欺やどんでん返しも本作において重要な要素であることは間違いないから、それを俺レベルの素人が見破れるようではあかん。

 

ロイ役の主演・ニコラス・ケイジの強迫神経障害やチック症の演技はさすがとしか言いようがない。相棒役フランクを演じたサム・ロックフェル、娘のアンジェラを演じたアリソン・ローマンも適材適所といった感じで良い演技だった。この3人の演技と存在感のせいで気持ち良く騙された人も多いと思う。

14歳のアンジェラを演じたアリソン・ローマンは撮影当時22歳?とからしくてそこに一番騙された。良くも悪くも老けて見られがちな白人である彼女が童顔とは言え14歳を自然に演じ切ったのには驚嘆する。

 

ロイが病気の影響で気を落ち着かせる為にタバコをスパスパ吸うのはわかるんだが、ロイは潔癖症でもあるはずなのにタバコの灰や汚れに関してはあまり気にしていない様子。そこが気になった。それともあれは、ロイが神経質なのは実は彼が思い込んでいるだけっていう伏線的な描写?

 

イチ、ニ、サンとか乾杯でちょくちょく登場する日本語はなんだったのか。笑

 

どんでん返しの分かり易さを度外視すれば、脚本が他の詐欺師映画とはちょっと違い詐欺師の心境の変化を綺麗に描いている作品だと思うが、個人的にはこの手の話でそういう綺麗なオチはあまり好きじゃない。

仕返しするなり、悪の根源・フランクが痛い目見るなりもう一山欲しかった。

 

マッチスティック・メンが英語で詐欺師の俗語とは知らなかった。